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Parse 終了と BaaS の行方を考えたら、アプリや Webサービスの開発がもっと楽になる未来が見えてきた

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また一つ、Facebook を嫌いになる理由ができました。

2016/1/29 に BaaS の最もシェアを持っている Parse がサービスを終了することを宣言しました。
執行猶予は 1年間。2017/1/28 に Parse は終了する。この日までに 60万あると言われる Parse を使ったアプリは全て移行しなければならないとのこと。
終了宣言から1週間、Parse のユーザーは阿鼻叫喚だったことでしょう。

TechCrunch の記事が最もユーザーの気持ちを表していたので、こちらをリンクしておきます。
jp.techcrunch.com

私自身は、Parse の対抗馬である Firebase のユーザーなので、今回の事件は対岸の火事ではあるのですが、長年 BaaS を引っ張ってきた Parse が終了ということであれば、業界全体に対する不安感というのも出てくるでしょう。Parse が終了なのに、Firebase は大丈夫なの?ニフティクラウドは?

自分自身、今は Firebase の提案はこれ以上はしないで、今後は Bubble の提案に切り替えたいと考えています。
Firebase が心配なのに、もっと小さい Bubble が大丈夫なの?という声もあるかと思いますが、そこはプログラム作成の進化の方向性から考えて、今のところは大丈夫だと考えています。

Parse が終了する理由

大金を投じて Parse を買った Facebook が辞めるっていうのだから、儲からない、先がないってことなのでしょう。
じゃあ、なんで儲からないのか、先がないのか?

誰でも当たり前だと思いますが、難しいコードをいくつも覚えたり、サーバを管理したいわけではありません。これらは手段であって、最終目的は Webサービスを作ったり、アプリを作りたいというところだと思います。
サーバ側の管理をしなくて良くて、簡単にアクセスできる Parse は出た当初は日本からのアクセスは遅いにも関わらず、大注目でした。当時は Parse のようなサービスはなかったためです。同様のサービスも次々と出てきました。
Parse や Firebase を使うことで、以前よりも格段に Webサービスやアプリの開発スピードは上がりました。運用コストも大幅に減少したと実感しています。
でも、私はもっと楽をしたい!

モバイルアプリの開発環境の進化

モバイルアプリの開発環境はこの2年くらいで大幅に進歩しました。
現在はコードを一切書かずにアプリを作れるプラットフォームがいくつもあります。

Best App Maker & Software Reviews 2016 | Comparakeet

このリンクでは、簡単にアプリを作ることのできるプラットフォームがランキングされています。2016年度版です。
この記事によると「43個のアプリクリエイターを試した」と書いてあるので、少なくとも 43個は似たようなプラットフォームがあるのでしょうね。
私はアプリまでは手が回らないので、これらのプラットフォームを評価することはできませんが、Bubble を見ていると恐らく同じようなことはできるのでしょう。「よく使う機能はだいたいできるが、痒いところにまでは手が届かない。」そんなところだと思います。
ライトなアプリなら、もはや xcode すら不要。ブラウザ上でアプリを作って、Web 上で App StoreGoogle Play に提出してくれます。

で、問題は、これらの「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」を使う層と「Parse などの BaaS」を使う層が被ってきている、かつ、
「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」の方が「Parse などの BaaS」より簡単なので、徐々にユーザーが「Parse などの BaaS」から「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」に流れているのでしょう。

Webサービスの開発環境の進化

Webサービスに関しては、モバイルアプリほど開発環境は進化していないと思います。
簡単に Webサービスが作れるという意味では、長年、WordPress がその役割を担っていました。WordPress が優秀すぎたせいでしょうか?それを超えるものというのはなかなか出てきませんでした。

私自身で考えると、Webサービスの提案をする際、ついこの間まで AngularJS + Firebase をメインにしていました。AngularJS の部分はもちろんコードを書かなくてはいけませんが、画面デザインは GUI でやりたかったため、Pinegrow を使っています。この Pinegrow の部分と Firebase と同等の機能、さらに No Code でいいという Bubble を見つけ、私は完全に魅了されてしまいました。今後は Bubble に切り替えたいと考えています。

こちらもモバイルアプリほど進化は早くありませんが、やはりもっと簡単に Webサービスを作れるという環境に流れていくものと思います。

BaaS はどういう進化を遂げるべきか?

「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」や Bubble のような進化を遂げるべきでしょう。
なんせ、バックグラウンドのサービスは既に持っていて、顧客も付いています。あとは GUI と No Code(贅沢を言うならば、細かいところはコードを書けるようにしてもらえるとありがたい)をつけるだけです。

Firebase について言えば、先日、divshot を買いました。

jp.techcrunch.com

divshot はもともとは ブラウザ上でできる Bootstrap エディタを作っていました。儲からなかったからなのか、静的ホスティングの Heroku みたいなことをメインにして、Firebase に Join したという流れです。つまり、Bootstrap エディタであれば、既に Firebase は連携できる状況にあります。No Code をどこまでやるかというのはありますが、裏に Google が付いているのですから、できないことはないでしょう。Firebase は、Bubble のような方向に進化していってほしいものです。

ニフティクラウドも monaca と提携していますよね。monaca は全然 No Code じゃないですけど、日本のサービスの中では進んでいると思います。
monaca とニフティクラウドが合体して、日本でも「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」や Bubble のようなサービスを実現してくれると、大変助かります。ぜひやってほしい!!

まとめ

Parse が終了した理由は、そういうわけで一言で言ってしまえば、「時代の流れ」なんでしょう。
ただね、Parse は多くのユーザーを抱えていた優れたプラットフォームなので、「簡単にアプリを作ることのできるプラットフォーム」にシフトチェンジすることだって容易にできたと思うのです。そういう方向性を打ち出さずに、「儲からないから辞める」という判断をする Facebook には怒りを覚えます。もちろん、熟慮を重ねた結果なんだと思いますけどね。

余談(Facebook は買ったサービスを衰退させる)

Facebook は VR の雄 Oculus も買っています。今は VR といえば Oculus ですが、VR にはどんどん大きな会社が参入してきています。近いうちに Oculus の影響力は下がっていくことでしょう。それを見た Facebook の経営層は、Parse と同じ判断をするはずです。その時、Oculus 用のソフトを開発していた人たちは、今の Parse で開発していた人たちと同じ辛さを経験するでしょう。これを予見できる開発者たちは、早期に Oculus から撤退するはずです。そうすると VR に対する Oculus の影響力は加速度的に小さくなります。
つまり、何が言いたいかというと、今回の判断は開発者の Facebook 離れを引き起こす判断であり、Facebook に買われたサービスは衰退することを宿命づけてしまった大きな事件の一つだったということです。
もう Facebook は有望な会社は買わないでくれ!と本気で思う一件でした。

Minecraft の作者の Notch が Minecraft を公式に Oculus Rift 対応しようとしていたにも関わらず、Facebook が Oculus を買収したというニュースが流れた途端に怒って Oculus Rift 対応を取りやめたという話がありました。

kotaku.com

当時は何でだろう?と思っていましたが、今になって思うと、Facebook という会社を Notch はよく知っていたのでしょうね。
ただ、Notch は、やはり Oculus は好きなようで、今でもちょっとしたデモ作品などは出しているようです。

japanese.engadget.com